特集 肝疾患治療の最新動向 ―新薬の情報とともに
1.B型肝炎・D型肝炎 ―新規薬剤と今後の展望
鈴木 孝典
1
,
井上 貴子
2
,
田中 靖人
3
1名古屋市立大学大学院医学研究科消化器・代謝内科学
2名古屋市立大学病院中央臨床検査部
3熊本大学大学院生命科学研究部生体機能病態学分野消化器内科学講座
キーワード:
B型肝炎
,
D型肝炎
,
新規治療薬
Keyword:
B型肝炎
,
D型肝炎
,
新規治療薬
pp.1416-1425
発行日 2025年10月20日
Published Date 2025/10/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003673
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B型肝炎の診断においては,従来の血清マーカーに加え,高感度HBcrAg測定法といった新しい検査系が診療において重要な役割を果たす可能性がある.治療においては既存の核酸アナログ製剤やインターフェロン製剤に加え,ウイルス複製阻害薬や宿主因子標的薬といった多様な作用機序をもつ新規治療薬の開発が目覚ましく進んでおり,今後はそれらの併用療法によって機能的治癒の達成が期待されている.とくにHBV RNA阻害薬の臨床開発が最も進んでおりcccDNA由来のウイルス転写物を直接抑制する新たな治療選択肢として注目されている.これらの薬剤はHBs抗原の持続的発現を制御することで,機能的治癒の実現に貢献する可能性がある.またHDV感染症においても治療薬の開発は有望であり,HDVの生活環のさまざまな段階を標的とした薬剤や宿主の免疫応答を調節する薬剤が現在,臨床試験で評価されている.将来的には複数の薬剤を組み合わせることが持続的なウイルス学的奏効を達成するために必要となる可能性がある.

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