特集 いま求められる肝炎の知識
ウイルス肝炎―その病態と診断
その他のウイルスによる肝炎
長田 郁夫
1
,
村上 潤
1
,
岡本 学
1
,
飯塚 俊之
1
,
神崎 晋
1
1鳥取大学医学部統合内科医学講座周産期小児医学分野
キーワード:
ヘルペスウイルス
,
先天性感染
,
immunocompromised host
Keyword:
ヘルペスウイルス
,
先天性感染
,
immunocompromised host
pp.687-690
発行日 2003年8月1日
Published Date 2003/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100673
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肝細胞に親和性をもち肝障害を引き起こす肝炎ウイルスにはA~E型の5種類があるが,これらの肝炎ウイルス以外にも肝障害の原因となるウイルスが知られている(表).これらのうち,サイトメガロウイルス(cytomegalovirus : CMV)やEpstein-Barr virus(EBV)は肝障害との関連性が強く,また単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus : HSV),水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella- zoster virus : VZV),ヒトヘルペスウイルス6型(human herpesvirus 6 : HHV-6)などのヘルペスウイルス属とともに,ヒトパルボウイルスB19(human parvovirus B19 : HPV-B19)も肝機能障害を引き起こすウイルスとして知られる.
急性肝炎の原因として,成人ではEBVが数%程度を占めるとされるが,CMVやHSVが原因となることは少ない.また慢性肝疾患においても,成人では肝炎ウイルス以外のウイルスが原因となることは稀である.しかし,上記のウイルスは先天性感染や出生後の感染を含め,小児期の肝障害の原因としては頻度が高く,時に重症の肝障害の原因となる.また成人でもimmunocompromised host(免疫能低下状態の宿主)では重要な位置を占める.
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