地域・家庭医療学実践記(第15回)
地域に根ざした家庭医研修
涌波 満
1
1ファミリークリニックきたなかぐすく
pp.266
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100572
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ファミリークリニックでは,不定期ではありますが,開業当初より,将来家庭医を目指す新進気鋭の研修医を3カ月単位で受け入れてきました.彼らの家庭医療に対する思いにはただならぬものがあり,優秀さに加え,研修に対する積極的な姿勢もみられ,頼もしい限りです.
研修の中で,家庭医が直面するさまざまな局面を共に考え,解決していくというスタンスで実践を積んでいます.具体的にはこうです.待合室に研修医紹介を顔写真入りで掲載してあり,患者さんにはあらかじめ研修医が働いているという情報を提供しています.新患や初診の方には,研修医が自己紹介をし,最後に私が診察に入ることを説明して,面接し,理学的所見をとります.研修医は,鑑別診断を行い,診断・治療計画を立て,そのうえで私に症例を提示します.ここまでは一般的な形です.ところが,当院では,大きな問題がない限り,患者さんも交えて,研修医から診断・治療計画を聞くのです.患者さんは,私がその日の担当であることを期待して来院されているのですから,直接診察する必要があるのです.もし,診察が不十分であれば,研修医に示しながら,理学的所見をとったりします.これにより,われわれがどのように考えて検査や治療を決めていくのか,患者さんに詳しく理解していただくことができますし,研修医にとっては,たとえ風邪の診療であったとしてもかなりの緊張感をもって診療に臨むことになるのです.実際,プレッシャーはあったが,しっかりと一つ一つの症例を提示し,考えることができたという感想がありました.
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