地域・家庭医療学実践記・2
家庭医はコミュニティリソースのコーディネータだ
涌波 満
1
1ファミリークリニックきたなかぐすく
pp.168
発行日 2002年2月15日
Published Date 2002/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903469
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Sさんは80歳.私が老人慢性疾患病棟の担当をしていた頃からの患者さんです.糖尿病2型,高脂血症,高血圧症の"死の三重奏"とまでいわれる高リスク因子の持ち主で,既に2度の脳梗塞を起こし,左の上下肢不全麻痺に右側の小脳性失調が後遺症として残っています.私が彼を担当して既に3年ほど経ちますが,一度インフルエンザで入院した以外は大きな合併症もなく,クリニック併設の通所リハビリテーションに週2度通ってきてくれています.彼の一番の楽しみは,通所リハ室で行っているプランターを使った野菜の栽培です.収穫の時などは,1時間以上かけて,手塩にかけて育てたかいわれや菜っ葉をゆっくりと摘み取っています.
Sさんの外来診察は月1回で,その時には,別居はしていますが,とても父親思いの三男さんがいつも付き添っています.クリニックの開業後もそのまま続けて来てくれています.
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