かかりつけ医のための家庭医療学(第27回)
地域立脚型のケア(2)―介護保険法と家庭医のかかわり
前沢 政次
1
1北海道大学医学部附属病院総合診療部
pp.267-270
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100573
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介護保険の趣旨
何らかの介護や支援を要する要援護高齢者が,平成12年には280万人,平成37年には520万人に達すると予測されるなど,高齢化の進展に伴い,今後,寝たきりや痴呆の高齢者が急速に増加する一方で,核家族化の進展などによる家族の介護機能の変化などが起こっており,高齢者介護問題は老後最大の不安要因となっている.
しかし,高齢者介護に関し,従来は老人福祉と老人保健の2つの異なる制度の下で行われ,利用手続きや利用者負担の面で不均衡があり,総合的なサービス利用という面で課題があった.また,
①福祉サービスについては,行政がサービスの種類,提供機関を決めるため,利用者がサービスの選択を自由に行えない.
②保健医療サービスについては,介護を主たる目的とする一般病院への長期入院(いわゆる社会的入院)などサービスの利用が適切になされていない.
などの問題が生じていた.介護保険制度は,これらの両制度を再編成し,給付と負担の関係が明確な社会保険方式により社会全体で介護を支える新たな仕組みを創設し,利用者の選択により保健・医療・福祉にわたる介護サービスが総合的に利用できるようにしたものである.
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