特集 いま日常診療で注目すべき原虫症・寄生虫症
トリパノソーマ症・リーシュマニア症
橘 裕司
1
1東海大学医学部感染症学部門
キーワード:
吸血昆虫
,
アフリカ睡眠病
,
シャーガス病
,
内臓リーシュマニア症
,
皮膚リーシュマニア症
Keyword:
吸血昆虫
,
アフリカ睡眠病
,
シャーガス病
,
内臓リーシュマニア症
,
皮膚リーシュマニア症
pp.251-253
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100567
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Case
皮膚リーシュマニア症の1例
患 者:67歳,男性.
既往歴・家族歴:特記すべきことなし.
現病歴:インド各地の観光地を2週間旅行したが,9日目頃,右頸部に無痛性の単発性皮疹を自覚.帰国後,抗生剤などによる治療を試みたが改善せず,皮疹は徐々に拡大した.帰国5カ月後に大学病院を受診.皮疹の大きさは2×4.5 cm,周囲が堤防状に隆起した紅斑で,中央部は潰瘍を形成していた.隆起部の生検により,リーシュマニア虫体が検出された.ペントスタム(R)の筋注療法を行い,治癒した.
トリパノソーマとリーシュマニアはトリパノソーマ科に属する原虫で,DNAを含むキネトプラストと呼ばれる細胞内器官と1本の鞭毛を有するのが特徴である.トリパノソーマ症,リーシュマニア症ともに,吸血昆虫によって媒介される人畜共通感染症である.
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