目でみる耳鼻咽喉科
外鼻再建—リーシュマニア症による鞍鼻の治療
田原 真也
1
,
天津 睦郎
1
,
井上 健造
2
1神戸大学医学部耳鼻咽喉科学教室
2兵庫県立成人病センター耳鼻咽喉科
pp.94-95
発行日 1993年2月20日
Published Date 1993/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900674
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リーシュマニア症は原虫がスナバエの刺咬によりヒトに感染するもので,このうち皮膚粘膜リーシュマニア症はL.braziliensisなどの病原体の感染で,慢性の経過で顔面皮膚・粘膜に浸潤して潰瘍を生じ,数年で軟骨も冒されるという南,中央アメリカの風土病である1)。われわれは本邦では稀な本疾患による鼻腔粘膜・軟骨潰瘍による鞍鼻を治療する経験を得たので,症例と外鼻再建術式を報告する。
症例:48歳,女。ブラジルで日系移民の子として出生,10歳ごろ,日本に帰国。その後鼻汁などの症状があり,耳鼻科を受診し,蓄膿といわれて加療していたが,改善しなかった。1991年2月兵庫県立成人病センター耳鼻科を受診し,皮内反応(モンテネグロテスト)によってリーシュマニア感染と診断され,約3か月間スチブノールによる薬剤療法を行った。この結果,原疾患は治癒したが,鼻中隔と鼻柱欠損による鞍鼻変形を残した(図1)。
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