特集 いま日常診療で注目すべき原虫症・寄生虫症
寄生虫症の免疫学的診断
荒木 国興
1
1東京医科歯科大学大学院国際環境寄生虫病学分野
キーワード:
免疫学的検査
,
組換え抗原
,
交叉反応
,
ELISA法
,
dot-ELISA法
Keyword:
免疫学的検査
,
組換え抗原
,
交叉反応
,
ELISA法
,
dot-ELISA法
pp.254-256
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100568
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Case
抗アニサキス抗体を保持していたマンソン孤虫症の1例
患 者:49歳,男性.
既往歴・家族歴:特記すべきことなし.
現病歴:右季肋部に30×15 mmの境界明瞭な可動性の腫瘤を認めた.局部麻酔下に患部を切開したところ,乳白色でひも状の虫体を認めた.虫体の切片標本をコッサ銀染色したところ,条虫に特有の石灰小体が柔組織内に認められ,マンソン孤虫症と診断した.ELISA法で精査した結果,抗アニサキス抗体も保持しており,合併症であることが確認された.
虫体が発育途中で未成熟の時や成虫が胸腔や腹腔に寄生している時などは,糞便検査では対処できない.このような寄生虫症の診断には,補助的診断法として種々の免疫学的検査が行われている.通常は抗寄生虫抗体を検出するが,寄生虫由来の抗原を検出する方法もある.確かに,免疫学的検査法は少しずつ改良されて信頼性も高くなってきたが,検査依頼する医師もそれぞれの検査法の特徴を理解しておくほうがよい.ある程度理解できていれば,受け取った結果の解釈が容易になるはずである.
本稿では,dot-ELISA法(J1)を主に,わが国で行われている免疫学的検査法の利点や問題点について概説する.
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