今月の表紙 帰ってきた寄生虫シリーズ・19
リーシュマニア
藤田 紘一郎
1
1東京医科歯科大学大学院国際環境寄生虫病学
pp.688-689
発行日 2001年7月15日
Published Date 2001/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904802
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リーシュマニア症はLeishmania属の原虫によって起こる人畜共通感染症であり,ヒト以外にも多くの家畜や野生動物も保虫宿主になっている.病態により,脾・肝腫を伴う内臓リーシュマニア症(カラ・アザール),皮膚に潰瘍を形成する皮膚リーシュマニア症および鼻・咽頭腔や口腔などの粘膜組織の破壊や欠損を起こす粘膜リーシュマニア症とに分けられている.これらはいずれも吸血性昆虫のサシチョウバエ(sand fly,大きさ2~3mm)によって媒介される.ヒトやその他の脊椎動物の細網内皮系細胞,特にマクロファージ内では無鞭毛期(アマスチゴート,2~5μm)として寄生・増殖しているが(図1),サシチョウバエ体内では1本の鞭毛を形成し,運動性のある前鞭毛期(プロマスチゴート,10~25×1.5~6μm)として二分裂で増殖している(図2).
ヒトへはサシチョウバエの吸血時にプロマスチゴートが体内に取り込まれて感染する.プロマスチゴートはヒト体内に入ると,24時間くらいでアマスチゴートになり,分裂・増殖を繰り返す.
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