特集 いま日常診療で注目すべき原虫症・寄生虫症
腸管内寄生線虫症 回虫症・鉤虫症・鞭虫症・蟯虫症・糞線虫症
丸山 治彦
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科宿主寄生体関係学
キーワード:
下痢症
,
蛋白漏出性胃腸症
,
播種性糞線虫症
,
免疫不全
Keyword:
下痢症
,
蛋白漏出性胃腸症
,
播種性糞線虫症
,
免疫不全
pp.220-223
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100558
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Case
SLE/RAに合併した重症糞線虫症の1例
患 者:63歳,女性.
既往歴:SLE/RAにて加療中.
現病歴:主訴は腹部膨満感.腹部単純X線で腸閉塞を認め入院.入院時Hb 9.1 g/dl,Ht 28.0%,TP 5.3 g/dl.内視鏡にて十二指腸粘膜に顆粒状白色撒布像,白色絨毛,浮腫.生検で病理組織に虫体断面を認め,糞便検査にて糞線虫幼虫を確認.イベルメクチン6 mgを2週間隔で2回投与,糞便中の幼虫は消失し,貧血・低蛋白血症も徐々に改善した.
わが国における腸管内寄生線虫症の現状
腸管内線虫症は,診断にたどり着く経緯が実にさまざまである.ひとつの極端な例は回虫症で,この疾患は最近では患者自らが虫体を持参することが割に多く,また内視鏡で出くわすこともある.肉眼で見える大きさの虫体がいきなり出てくるわけであるから,その瞬間に回虫症という診断が下される.ただひとつ注意すべき点があるとすれば,水道水などに入れて持ってこられた回虫は意外とミミズに似ているということで,内視鏡で発見した時には問題ないが,患者が持参した時にはそれが本当に体内から出てきたのかと考えてしまうこともありうる.ただし,一度実物を見てしまえば次から迷うことはない.
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