特集 いま日常診療で注目すべき原虫症・寄生虫症
消化管の原虫症―シアルジア症・クリプトスポリジウム症
相楽 裕子
1
1横浜市立市民病院感染症部
キーワード:
原虫症
,
下痢症
,
ジアルジア
,
クリプトスポリジウム
,
水系感染
Keyword:
原虫症
,
下痢症
,
ジアルジア
,
クリプトスポリジウム
,
水系感染
pp.217-219
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100557
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Case
国内でジアルジア症に感染した1例
患 者:43歳,男性.
既往歴:尿路結石.
生活歴:海外渡航歴なし.1カ月前に湖でキャンプ,同行者に発病なし.スポーツクラブで水泳.自宅で浄水器付き水道水を使用.
現病歴:11/17より下痢,水様便10回以上/日,腹痛,悪心,嘔吐.38℃.11/25近医で治療を受けるも変わらず,1週間で体重8 kg減少.11/28当院に紹介.WBC 10,160/μl(好中球58%), Hb 16 g/dl, TP 8.2 g/dl, BUN 8.2 mg/dl, CRN 0.81 mg/dl, Na 140 mEq/l, K 3.8 mEq/l, Cl 115 mEq/l, CRP 0.3 mg/dl.糞便培養;腸管系病原菌(-).糞便鏡検;ランブル鞭毛虫栄養型,シスト(+).クラビット(R)300 mgを投与されたが下痢は5回/日.11/30フラジール(R) 750 mg/日を開始,下痢消失.
物的・人的交流がグローバル化し,海外旅行や輸入食品を通してさまざまな下痢症病原体が国内に侵入してくるのは,もはや避けられない状況にある.このような状況を背景として,赤痢アメーバ症,クリプトスポリジウム症,ジアルジア症などの消化管原虫症は感染症法の4類感染症に類型化され,実数報告が求められている.下痢症の日常診療において,糞便培養は一般的であるが,原虫・寄生虫を目的とした糞便の顕微鏡検査はあまり普及していない.ここでは,ジアルジア症,クリプトスポリジウム症について述べる.
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