在宅医療技術の進歩(新連載/第1回)
在宅医療の現状と課題
山中 崇
1
1東京女子医科大学附属第二病院在宅医療部
pp.79-82
発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100528
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在宅医療の背景
わが国においては,さまざまな疾患に罹患したり身体機能の障害などのために通院が困難になった場合,入院に頼る傾向が強くみられてきた.この背景として,国民皆保険制度や高齢者における医療費負担の軽減策が講じられてきたことなどにより,病院にアクセスしやすい状態が続いてきたこと,都市部を中心に核家族化が進んだことなどがあげられる.医療社会学的観点からみると,病院を頼りにする文化が形成されてきたともいえる.
しかし,もはや従来どおりに医療資源を利用し続けることは医療経済的に困難になっており,国際標準を目指した医療改革が政策的に進められている.これまでわが国の平均入院期間は国際的にみて長期にわたっていた.1996年の時点で各国の平均入院期間は日本29.2日,韓国11.0日,ドイツ11.5日,英国4.8日,米国6.5日である(OECD Health Data’98,平成8年医療施設調査・病院報告,患者調査).今後国際標準を目指した医療改革が進行するならば,急性期治療後早期に退院した後の医療を支える在宅医療システムの充実が急務になることであろう.
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