JIM臨床画像コレクション
Giant Molluscum Contagiosum vs. Giant Herpes Simplex
酒見 英太
1
,
谷口 洋貴
1
,
井関 太美
1
,
佐藤 秀人
1
1国立京都病院総合内科
pp.83
発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100529
- 有料閲覧
- 文献概要
症例は56歳のAIDS患者で,初診時HIV-RNA 2.3×104コピー/mlなるも,CD4数は0.3/mm3しかなく,CMV胃潰瘍,カンジダ食道炎,サルモネラ敗血症,HSV口唇ひょう疽とさまざまな感染症を合併したが,幸いd4T・3TC・EFVによるHAARTにて4カ月後にはHIV-RNA<5.0×10/mlまで減少し,抗微生物薬が奏効して上記感染症はいずれも治癒した.しかし,HAART開始約3カ月後(HIV-RNA 4.0×102コピー/ml,CD4数19/mm3)時点で右下腿に痛み・かゆみのない直径1 cm余りの中心臍窩を伴う非水疱性隆起性皮膚病変が2個出現し(表紙写真・上),形態より免疫不全者に発生しうる巨大伝染性軟属腫を疑った.しかし,吸引針生検検体をギムザ染色したところ,molluscum bodyではなく,核の巨大化した巨細胞(表紙写真・下,陽性Tzanckスメア)を認め,HSV感染症であったと考えられた.
HIV陽性患者におけるウイルス疹は,免疫正常者と比べて,そのサイズ・数や経過においてしばしば非典型的であり,単純ヘルペスは慢性潰瘍型を,かたや伝染性軟属腫は1 cmを超えるような大型の隆起性病変となることが特徴的とされるが,本症例では形態からは判別が難しく,診断には簡単なTzanckスメアが役立った
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.