特集 性差医療から考える―患者の望む医療とは?
性差医療の現状と課題について
宮尾 益理子
1,2
,
大内 尉義
2
1関東中央病院代謝内分泌科
2東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座
pp.730-734
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101140
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
2001年にわが国で初めての「女性専門外来」が鹿児島,続いて千葉で誕生してから,はや5年以上が経過した.米国に10年遅れで始まった女性医療への取り組みは多くのマスコミに取り上げられ,行政主導のものも含めて瞬く間に全国に広がり,すべての都道府県に計400以上の女性外来が開設された.
女性専門外来,女性専用外来,女性総合外来など名称は様々であるが,共通しているのは,「女性であれば,症状は問わないこと」と「十分な診療時間の確保(多くは予約制・初診は最低30分の確保)」である.内科または婦人科の女性医師が担当していることが多いが,乳腺外科,泌尿器科,精神科,心療内科,皮膚科などの医師が加わっているところもある.「女性医師による女性のための時間をかけた診療」という看板に,従来の診療で解決できなかった問題を抱えた多くの女性が殺到,現在でも予約のとりにくい施設もあれば,担当者のバーンアウトや受診者のニーズに答えられないことが原因で閉鎖する女性外来も出てきている.
本稿では,女性外来から明らかとなった女性医療(男性医療)と診療体制に関するニーズと,性差医療の今後につき述べていきたい.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.