特集 出産の新潮流と助産婦
産科医療の現状と課題
雨森 良彦
1
1日本赤十字社医療センター産科
pp.618-621
発行日 1989年8月25日
Published Date 1989/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207666
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産科医療の教育
5年程まえの「ニューズウィーク」誌に西ドイツの人口が急激に減少して深刻な問題になっているという記事が出ていました。社会保障は整っているし,今の生活をエンジョイしてもっといい家に住みたいとか夫婦だけのバカンスを楽しみたいとか,費用のかかる子供は一人で結構,というような風潮は,人口5,000万の西ドイツが100年後には500万に減るという予想さえ成立するような危機を招来してしまいました。幼稚園はつぶれる,大きな伝統ある産院はつぶれる,NATOの戦車兵の応募者はいなくなる,若年労働者はいなくなる──。国家がどうか産んでくださいと奨励金を提供して,なんとか一息ついたようです。
その頃,海のむこうの他人事のように考えていましたが,最近のわが国の出生率の低下は目をおおいたくなるほどです。毎年10%ずつ減少しています。20年前と比較するともう半減です。高齢化社会に急スピードで突入しつつあるわけです。
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