老人医療と福祉の課題
在宅サービスの現状と課題
鎌田 ケイ子
1
Keiko KAMATA
1
1東京都老人総合研究所看護学研究室
pp.534-538
発行日 1983年6月1日
Published Date 1983/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208051
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老人ケアの問題は深刻なだけに,その解決方法はたやすいものではない.「年寄りが死んで老人問題が終わった」これはそれまで苦労が多かった家族が言った言葉である.老人が倒れて入院先をようやく探しあてたのもつかの間,精神症状が出てきて,退院を申し渡され,また別の病院を探さなくてはならなくなった.そのようなことの繰り返しに,くたくたに疲れきった家族は老人の死によってのみ肩の荷を降ろすことができたのであろう.そこまで家族を追い込まざるを得なかった老人ケア体制の貧困さを感じざるを得ない.
個人の老人問題は少なくともそれで解消したかもしれないが,老人問題そのものは連綿として引き続いているのである.知恵を寄せ集めてなんとかこの困難な問題を乗り越えていきたいものである.在宅サービスの充実はその一つの強力な武器であるに違いない.
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