特集 診療ガイドライン
高脂血症の診療ガイドライン
小泉 順二
1
1金沢大学医学部附属病院総合診療部
キーワード:
動脈硬化性疾患
,
LDL-コレステロール
,
冠危険因子
,
マルチプルリスクファクター.
Keyword:
動脈硬化性疾患
,
LDL-コレステロール
,
冠危険因子
,
マルチプルリスクファクター.
pp.29-32
発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100516
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『動脈硬化性疾患診療ガイドライン2002年版』について
高脂血症ガイドラインの変遷
高脂血症治療の主な目的は動脈硬化性疾患の予防と治療である.近年,スタチン系をはじめとする薬剤の開発が進み,コレステロール低下療法と冠動脈疾患および脳梗塞の予防・治療効果が明らかにされている.一方,生活の欧米化による血清コレステロール増加や冠動脈疾患増加の危険性の指摘とともに,冠動脈疾患発症率が世界的には低率なわが国でのコレステロール治療の方策につき議論がなされているのが現状と思われる.
1987年,日本動脈硬化学会で高脂血症に関するコンセンサス・カンファレンスが開催され,高脂血症基準値が提案された.その翌年に,米国でNational Cholesterol Education Program(NCEP)のガイドラインが発表され,1993年にはAdult Treatment Panel(ATP)Ⅱとして,ハイリスク患者では強力なLDL-コレステロール(LDL-C)値低下を推奨する考えが示され,一昨年,2001年にATPⅢが発表された.これとは別に,日本動脈硬化学会ではわが国での疫学成績を加味した,高脂血症のみではなく動脈硬化の予防・治療のためのガイドライン作成が1999年より開始され,2002年9月に『動脈硬化性疾患診療ガイドライン2002年版』が発行された1).
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