講座 図解病態のしくみ 内分泌代謝疾患・14
高脂血症
松田 文子
1
,
葛谷 健
1
1自治医科大学・内分泌代謝科
pp.718-726
発行日 1987年4月10日
Published Date 1987/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220915
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生体は食物から脂肪を消化吸収してエネルギー源とする.脂質は身体の構成素材とくに細胞膜の構成成分としても必須の物質である.ステロイドホルモンは脂質の一つであるコレステロールを素材として合成される.胆汁酸も同様である.燐脂質は細胞膜の構成成分として重要であるのみならず,細胞内のシグナル伝達機構をも担っていることがわかってきた.脂質は外から供給される外因性のもののみならず生体内でも一部合成される.脂質は単体では溶けにくいため,血漿内で運搬されるにはタンパクと結合し,溶けやすい形をとる必要がある.遊離脂肪酸はアルブミンと結合するが,コレステロールや中性脂肪(トリグリセリド),燐脂質はアポタンパクと複合体を形成し,リポタンパクとなり血液中を運搬される.高脂血症はこれらの脂質の供給,運搬,異化の過程に異常が起こり,血漿中の脂質のいずれかが増加したりバランスがくずれた状態である.
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