特集 診療ガイドライン
急性心筋梗塞の診療ガイドライン
藤井 崇史
1
,
松﨑 益德
1
1山口大学医学部循環病態内科学
キーワード:
急性心筋梗塞
,
血栓溶解療法
,
トロポニンT
,
心肺蘇生術.
Keyword:
急性心筋梗塞
,
血栓溶解療法
,
トロポニンT
,
心肺蘇生術.
pp.22-24
発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100514
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Case
血栓溶解療法と冠動脈形成術の併用で救命しえた広範囲心筋梗塞の1例
患 者:47歳の男性.
既往歴:40歳より高血圧,高脂血症にて加療中.
家族歴:母親が高血圧で治療中.
現病歴:早朝の通勤中に突然前胸部を締め付けるような痛みが出現し,徐々に気分不良となり,冷汗を伴うようになったため,救急車にて来院した.
入院時,脈拍114/分,血圧76/60 mmHg,顔面蒼白,四肢末梢に軽度チアノーゼあり,心音微弱であるがⅢ音を聴取.心電図上は広範囲前壁中隔側壁梗塞であるため,入院直後に血栓溶解薬を静脈内投与.その10分後に胸部痛は軽快し,血圧も124/86 mmHgと正常値に復した.その後,左冠動脈前下行枝近位部にステントを留置し,救命しえた.
心筋梗塞急性期治療の最大の目的は死亡率の低下を図ることと,QOLの維持にある.そのためには可能な限り迅速に診断し,責任冠動脈の血流を再建し,残存心筋を救済し心機能を維持することが必要で,これが心事故の抑制につながる.心筋梗塞の診療ガイドラインは,その目的からすると開業医や一般診療所の医師を対象にするべきであるが,心筋梗塞という疾患の特殊性を考えると,多少なりともある程度の規模の病院が対象となっている.
ここでは初診医が診断し,中核病院に搬送する際に必要なガイドラインについて概説する.
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