JIM Lecture
プライマリ・ケア医のための緩和リハビリテーション講座
田沼 明
1
,
辻 哲也
2
1静岡県立がんセンターリハビリテーション科
2慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
pp.752-757
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100418
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進行がん患者に対するリハビリテーション・アプローチとしては,ADL・基本動作・歩行訓練や指導,廃用症候群の予防・改善,浮腫や嚥下面への対応,介護指導や自宅環境調整などの在宅準備などがあげられる.また,病状が進行した場合でも,疼痛・浮腫・呼吸困難感に対する症状緩和などでの介入が可能である.
高齢化社会に突入した現在,わが国におけるがん患者数は年々増加している.一方,医療技術の進歩によってがんの死亡率は減少傾向にあり,1999年末現在298万人であったがん生存者が2015年には533万人になると推計されている.しかし,治療に対する反応が不良であったり再発したりすることによって死に至ることも多く,現在約30万人といわれる年間死亡者数が2015年には約3倍になると予想されている.
がん患者は,がんの進行やその治療の過程において認知障害,嚥下障害,発声障害,運動麻痺,筋力低下,拘縮,しびれ,神経因性膀胱,四肢長管骨や脊椎の病的骨折,四肢の浮腫などのさまざまな機能障害が起こる.また,終末期の場合には,これらに加えて呼吸困難感や疼痛などに悩まされることも少なくない.
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