明日からできる「物忘れ外来」【第6回】
アルツハイマー病治療・介護のコツ②―知っておきたい抗認知症薬,向精神薬の使用法,注意点
川畑 信也
1
1成田記念病院神経内科
pp.758-762
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100419
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中核症状と周辺症状
アルツハイマー病でみられる症状は,神経細胞が壊れることが直接的な原因となって生じる中核症状と,中核症状に伴って生じる周辺症状(行動障害と精神症状)に分けて考えると理解しやすい(図1).周辺症状は,以前,問題行動といわれていましたが,問題行動というと,何か患者さんが悪いことをしている印象を受けたり,周囲の介護者が問題だと受け止めているだけであって患者さん本人が悪いわけではないことから,現在では,行動障害あるいは精神症状と呼ばれることが多いようです.国際的には,認知症の行動と心理症状Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia(BPSD)という名称が提唱されています.
中核症状は,以下のように分類されます.
①記憶障害:新しいことを覚えられない,以前獲得した記憶を想起できない.
②失語症:言葉の障害,日常会話が成立しない.
③失認症:感覚機能に異常はないが,対象を正しく認識することができない.
④失行症:運動機能に異常はないが,動作を正しく遂行することができない.
⑤実行機能(物事を計画する,実行する,組織化する,推測する機能)の障害.
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