巻頭言
進行がんとリハビリテーション
田沼 明
1
1静岡県立静岡がんセンターリハビリテーション科
pp.1031
発行日 2014年11月10日
Published Date 2014/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200036
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筆者ががん専門病院に赴任して約9年の時が経つ.それまでは脳血管障害をはじめとする回復期の患者に対応する機会が多かった.進行がん患者に対応するようになってはじめに感じたことは,使える時間の長さを意識する必要があることであった.回復期の患者であってももちろん時間を意識する必要があるのだが,主に月単位で物事を考えていた.一方,進行がんで余命が限られている患者においては,週や日といった短い時間での目標設定とそのアプローチの方法を考えなくてはならず,「時間」がリハビリテーションを進めるうえでの重要な因子となる.
ただし,使える時間が短ければリハビリテーションの役割が小さいかというと決してそのようなことはない.例えば全身的な衰弱があり,日常生活活動(activities of daily living;ADL)における介助量が大きいが今退院しなければ二度と自宅で生活することはないというケースにしばしば遭遇する.基本動作のコツの指導,家族への介助方法の指導などを短期間で行うことになるが,これは生活の質(quality of life;QOL)を維持するうえで大変重要なことである.
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