スグに使える臨床研修指南[2]
医療チームの中で,自分と研修者の役割について話し合おう
尾藤 誠司
1
1東京医療センター総合診療科
pp.336-339
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100324
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● 義務と権利と責任意識の中で,職業人は成長する.
● 指導医は,研修者の“節目”を観察し,チームでの役割を調節するべきである.
Case
R記念病院内科では,1人の入院患者へのケアに対して,研修医1名,卒後3~5年目の後期レジデント1名,および常勤スタッフ1名の3名で担当し,後期レジデントが“主治医”となることを常としている.今回,内科後期レジデントの井上(仮名)医師は,肺炎で入院したDさんを,常勤スタッフの上野(仮名)医師,および研修医の江藤(仮名)医師とともに担当することになった.Dさんの入院3日目,午前中の外来を終了した後,井上医師が病棟回診でDさんのベッドを訪ねると,「先生,江藤先生から聞きましたよ.明日から薬が替わるそうですね」と言われた.その時点で井上医師は,Dさんが何を言っているのかよく理解できなかったが,その場はお茶を濁してベッドを去った.診療録をみると確かに江藤医師が抗生物質の変更を指示した跡があり,江藤医師に聞くと,「ええ.午前中に上野先生が来られて,抗生物質の効果が今ひとつだから変えてみよう,ということになり,変更しておきました」との返事であった.井上医師はちょっと釈然としなかったので,その日上野医師に「いやあ,抗生物質が替わっていることを知らずにDさんのところに回診に行って,ちょっと戸惑っちゃいました」と話したところ,上野医師から「ああ.回診に行く時には,直前に診療録をみて,その日の変化をしっかり確認してからじゃないとだめだよ」と注意された.
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