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HIV/AIDSは抑えられた?
日本ではHIV感染者もAIDS患者も増え続け,AIDS対策は十分な成果を挙げていないという声が少なくない.確かに同性間性的接触でのHIV/AIDSは増加の一途だが,異性間性的接触では男女とも,HIV感染者数もAIDS患者数もここ5年間はほぼ横ばい状態である(図1).AIDSを発症した人は必ず医療機関を受診することと,AIDS発病前に診断されている人の数も増えていないことから,5~10年前からは異性間の性的接触による感染拡大は横ばい傾向になっていると思われる.ただ,2004年の望んだ妊娠でHIV抗体検査を受けた妊婦のHIV感染率(3.61人/出生10万人)が献血でのHIV陽性率(1.68人/献血者10万人)の倍以上になっていることや,中学校や高校ではHIVと同じ感染経路であるクラミジアに感染した生徒が増えており,学校現場での性感染症予防教育,AIDS教育がますます重要となっている.
教科書を読もう
学校医のみならず,地域の保健医療関係者が学校と連携1)する際に,学校の努力や実情を十分ふまえず注文をつけることが少なくない.とくに医師としてHIV/AIDSをはじめとする性感染症の診療経験がある場合は,医師自身が切実な思いで学校側により具体的な性教育を求め,理解が得られず連携自体が進まないこともある.学校との連携の前に学校の保健体育の教科書を読むことで,学校現場がどのように性感染症やAIDS予防教育に取り組んでいるかが概ね理解できる.小学校ではHIV/AIDSを性感染症として扱っていないこと,中学校では「コンドームはHIV/AIDSや性感染症の予防に有効である」という言葉だけが出ていること,高校では家族計画の単元にコンドームの写真などが掲載されていることを確認する.
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