Japanese
English
特集 AIDSに随伴する神経疾患
AIDS,AIDS脳症のウイルス学
Virology on AIDS and AIDS Dementia Complex
星野 洪郎
1
Hiroo Hoshino
1
1群馬大学医学部衛生学教室
1Department of Hygiene, Gunma University School of Medicine
キーワード:
AIDS
,
AIDS dementia complex
,
HIV−1
,
cell tropism
,
chemokine receptor
Keyword:
AIDS
,
AIDS dementia complex
,
HIV−1
,
cell tropism
,
chemokine receptor
pp.39-49
発行日 1997年1月1日
Published Date 1997/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406902077
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
ヒト免疫不全ウイルス(Human immunodeficiencyvirus type 1:HIV−1)に感染後,数年から10年の間に半数位のヒトにAIDS(後天性免疫不全症候群)が発症する。HIV−1は,免疫不全ばかりでなく高頻度で脳神経系の異常を起こし,この異常はエイズ脳症,HIV脳症,HIV脳炎,エイズ痴呆症(AIDSdementia complex,ADC)などと呼ばれている。中枢神経系の異常は,二次感染(真菌,トキソプラズマやサイトメガロウイルスなど)や腫瘍(Bリンパ腫など)のために起こることがあるが,主には,HIV−1が脳組織に感染することに原因があると考えられている。脳症状のみられなかった患者でも剖検で肉眼的な脳の異常が認められたり,病理組織学的検討で,半数から90%の症例で脳の異常がみられると報告されている1,2)。エイズは,抗HIV剤による治療により,体内のウイルス負荷はかなり軽減されるようになってきた。一方,進行したエイズ脳症は回復しない。先進国ではエイズ脳症がHIV−1感染における大きな問題となりつつある。本稿では,HIV−1ならびにエイズ脳症についてウイルス学的な概説を行う。なおスペースの都合で文献は,総説的なものを中心とした3〜8。
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.