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Case
患者:46歳,男性.会社員.
主訴:発熱.
既往歴:変形性脊椎症.
現病歴:12月12日頃から倦怠感を自覚し,毎日夕方になると38℃前半の発熱も認めるようになった.発熱時に肘や膝に軽度の関節痛を自覚することがあったが,その他の随伴症状はなく,先行する感冒症状もなかった.発熱が続くため,自宅近くの診療所を12月17日に受診し,頓服の解熱鎮痛薬の内服を開始.しかし,最高38.5℃の発熱が続くため,翌年1月7日に当科を紹介され入院となった.
身体所見では,第5胸椎に軽度の叩打痛を認めたが,その他,特記すべき所見を認めなかった.血液検査では,WBC 10,500/μl(Poly 66%,Band 1%,Lymph 27%,Mono 6%,Eosino 0%,Baso 0%),ESR 112 mm/hr,CRP 10.1 mg/dlであった.血液培養,胸椎MRIなどは正常であったが,患者も軽視していたわずかな咽頭痛という訴えを手がかりに,亜急性甲状腺炎を疑い,TSH(甲状腺刺激ホルモン)を測定したところ0.01μIU/ml以下と低値であった.甲状腺機能はFT3 8.99 pg/ml,FT4 4.12 ng/dlと高値で,TSH受容体抗体4.7%,抗サイログロブリン抗体陰性,抗甲状腺ペルオシキダーゼ抗体陰性であった.注意深い触診でも甲状腺部の圧痛はわずかであったが,甲状腺エコーで,本人の訴える“咽頭痛”の部位に一致した甲状腺左葉の低吸収域を認め,亜急性甲状腺炎と診断した.アスピリン,プロプラノロールを開始し,プレドニゾロンを使用することなく,発熱,倦怠感は軽快し,赤沈も正常化した.経過中,甲状腺機能はやや低下したが,数カ月後に正常化した.
診断:亜急性甲状腺炎!!
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