特集 これだけは知っておきたい検査のポイント
VI.血液検査
赤沈
磯貝 行秀
1
1慈恵医大内科
pp.512-513
発行日 1975年3月20日
Published Date 1975/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205890
- 有料閲覧
- 文献概要
異常値を示す疾患
赤沈は健常者では狭い数値内に恒常性を保っているが,疾患の際には病変の進行・停止,あるいは治癒へと動的な変化にしたがって赤沈も動揺がみられる.赤沈の促進は,炎症・組織の崩壊・貧血および血漿蛋白分画の異常などを反映しており,疾患の活動性を示すよい指標となる.
また,赤沈の促進は一つの急性期反応とみなされるが,その動きは発症後30時間以上を経過しないと明らかでないので,たとえば急性虫垂炎のときの白血球数増加のごとき速やかな反応性の変動はみられない.同時に異常から正常への復帰も緩徐であるという特質をもっている.しかし,慢性に経過する結核性疾患などの場合,体温・白血球数,あるいはCRPの動きがみられないのに赤沈のみが促進を示して再燃増悪を鋭敏に示唆するという一面をもっている.表1は赤沈の正常値を示したものである.赤沈の異常は「促進」と「遅延」に大別されるが,臨床的意義は前者の方がはるかに大である.「遅延」は正常者でもしばしばみられ,その意義は必ずしも大きくない.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.