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Case
患者:29歳,男性.
主訴:2週間前からの発熱.
既往歴:特記すべき事項なし.
現病歴:3月28日より38.5℃の発熱を認めた.発熱は消長を繰り返し,夜も眠れないぐらいであった.また,咽頭痛が強く,下痢を伴っていた.下痢は一過性で消失したが,咽頭痛が軽快しないため近医を受診,精査目的で4月9日に当院紹介入院となった.
入院時現症:身長167.4 cm,体重47.8 kg,血圧88/40 mmHg,脈拍90回/分,体温37.7℃,意識清明.眼瞼結膜貧血なし.眼球結膜黄疸なし.咽頭やや発赤あるも扁桃腫大は認めなかった.左頸部に1個,右頸部に2個の,5mm大で軽度の圧痛を伴う,可動性のあるリンパ節腫大を認めた.腋窩および鼠径リンパ節腫大は認めなかった.軀幹前面および前腕屈曲側に淡い発赤を伴った皮疹を認めた(図1).
入院時検査:WBC 2,400/μl(Neut 69%,Lym 26%,Mono 3%,Atypical lym 2%),RBC 461×104/μl,Hb 13.8 g/dl,Ht 40.9%,MCV 89 fl,MCH 29.9 pg,Plt 22.8×104/μl.TP 6.5 g/dl,Alb 3.7 g/dl,AST 40 IU/l,ALT 19 IU/l,LDH 631 IU/l,ALP 143 IU/l,ChE 130 IU/l,γGTP 18 IU/l,T-Bil 0.4 mg/dl,CK 48 IU/l,AMY 104 IU/l,T-Cho 138 mg/dl,TG 126 mg/dl,BUN 139. mg/dl,Cre 0.85 mg/dl,Na 135 mEq/l,K 3.5 mEq/l,Cl 102 mEq/l,Ca 8 mg/dl.PT 12.6秒.ESR 12 mm/hr,CRP 2.44 mg/dl.Fe 63 mg/dl,Ferritin 2,230 ng/ml,FBS 131.RF<40×,抗核抗体<20×,C3 109 mg/dl,C4 33 mg/dl,CH50 56 IU/l,IgG 1,209 mg/dl,IgA 280 mg/dl,IgM 142 mg/dl.ASO 44 U/ml,ASK 160×,寒冷凝集反応32×.HBs抗原(-),HCV抗体(-),RPR定量220 RU,TPLA定量10,554 TU.髄液検査;性状無色透明,細胞数42/3視野,TP 96,糖47,Cl 121,培養検査陰性,TPHA定性陽性.EBウイルス-VCA-IgM<10×,EBウイルス-VCA-IgG 80×,EBNA 20×.
入院後経過:TPLAが異常高値であったことから梅毒の感染による発熱を疑い,4月11日よりバカンピシリン750 mgを開始.しかし,皮疹については,軀幹前面および前腕屈曲側に淡い発赤を伴った中毒疹様であり,梅毒による皮疹の典型的なものではなく,何らかのウイルス感染によるものが疑われた.4月11日には白血球数4,800/μl,異型リンパ球18%で,以後はすみやかに異型リンパ球は減少している.
STI(sexual transmitted infection,J1)について再度問診を行ったところ,不特定多数の男性と性的接触があったとのことである.HIV1/2抗体検査を施行したところ陽性であった.すみやかに専門医に紹介となった.
診断:HIV感染!!
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