特集 ケーススタディ 不明熱
ケーススタディ
発熱+リンパ節腫脹+体重減少+単球増加症の77歳男性
木村 琢磨
1
1国立病院機構東京医療センター総合内科
キーワード:
症候の組み合わせ
,
検査前確率の見積もり
,
検査閾値
,
watchful waiting
,
診療のスパイラル
Keyword:
症候の組み合わせ
,
検査前確率の見積もり
,
検査閾値
,
watchful waiting
,
診療のスパイラル
pp.750-753
発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100156
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Case
患者:77歳,男性.会社会長.
主訴:発熱.
既往歴:72歳時に前立腺癌(手術).うつ病(スルピリド内服中).
現病歴:4月上旬より全身倦怠感が出現し,熱を測るようになった.とくに午後になると,37.5~38℃の発熱があり,しだいに食欲も低下してきたため外来を受診.身体診察では,全身状態は良好で,右顎下部,左後頸部に小豆大のリンパ節を1個ずつ触知したが,弾性硬,圧痛なく,可動性は良好で,本人は「少なくとも数年前からあり,大きさに変化もない」とのこと.胸部X線,血液検査を施行したが,とくに異常所見を認めず,本人と相談し外来で経過観察とした.
その後も37.5~38℃の発熱は続き,血液検査を含めた経過観察,上部消化管内視鏡,腹部エコーを行うも,原因は不明であった.5月に入り,約3 kg(約1カ月で53 kgから50 kgへ)の体重減少を認めたため,入院精査とした.入院後,1週間を経ても診断は不明で,発熱は続いた.経過中,末梢血分画で単球増加症が認められるようになり悪性リンパ腫を疑い,ガリウムシンチグラフィで右顎下部,左後頸部,左鎖骨窩,左腋窩部のリンパ節に集積を認めた.頸部リンパ節生検を施行したところ,Reed-Sternberg巨細胞,Epstein-Barr virus感染の所見を認め,ホジキン病(混合細胞型)と診断.直ちに血液内科へ転科となり,C-MOPP療法を開始されたが,合併した感染症のため,7月末日に永眠された. 診断:ホジキン病!!
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