増刊号特集 泌尿器科 病棟管理マニュアル
Ⅴ.術前・術後1週間の患者管理
新膀胱形成術
瀬島 健裕
1
,
宮川 征男
1
Takehiro Sejima
1
,
Ikuo Miyagawa
1
1鳥取大学医学部泌尿器科
pp.276-280
発行日 2002年3月30日
Published Date 2002/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413904618
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1 はじめに
膀胱癌に対する膀胱全摘除術に伴う尿路再建術は歴史とともにさまざまな変遷を経てきている。腸管を使用する尿路再建術は,既に歴史的に十分な経験が蓄積された"Brickerの手術"1)として普及した回腸導管造設術をはじめ種々の手術法が考案されてきたが,現在では術後のQOLを重視した新膀胱形成術が広く行われるようになってきた。この新膀胱形成術はQOL,美容上からもまさに理想的な尿路再建術であるが,他の尿路再建に比し,回腸もしくは結腸を広範囲に使用し,手術手技も複雑であり,手術時間も長い。よって種々の合併症にも十分に注意する必要がある。侵襲が大きな手術に共通する呼吸循環系の合併症や,腸管の切開,縫合に起因するイレウス,縫合不全などの比較的早期の合併症に加え,排尿障害,尿失禁,水腎症など比較的晩期の合併症など,さまざまな合併症の危険性をはらんでいる。これらの合併症を回避し,真の意味での術後のQOL向上を目指すためには,手術手技のみならず術前,術中,術後にわたり細かな管理ケアが必要であることは言うまでもない。本稿では当科で行っている新膀胱形成術における術前,術中,術後の管理法について言及したい。
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.