増刊号特集 泌尿器科病棟マニュアル—ベッドサイドの検査と処置・私はこうしている
術前・術後1週間の患者管理
新膀胱形成術
村石 修
1
1信州大学医学部泌尿器科学教室
pp.160-164
発行日 1995年3月30日
Published Date 1995/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901471
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新膀胱形成術に含まれる腸管の操作には,回腸あるいは結腸の部分的腸管遊離,腸管再建のための腸吻合,遊離腸管の切開(脱管腔化)そして代用膀胱作製のための縫合が含まれる。術後に可能性のある重篤な合併症としては,侵襲が大きな手術に共通する呼吸循環系の合併症と,腸管の切開縫合に関連する遷延性腸管麻痺,イレウス,縫合不全などがある。一般に新膀胱形成術を受ける患者は腸管に疾患が無いことが前提であるため,腸の悪性疾患で腸切除を受ける症例と比較すると術前の全身状態,栄養状態は良好であり腸管の縫合不全の危険は少ない。しかし,術野でかなり長い腸管を切開(脱管腔化)する操作は消化器外科領域では少なく,術野が汚染され易い点は危険因子とも言える。「消化管縫合不全は消化器外科医につきまとう宿命的合併症で,それを皆無にすることは外科医の夢である」という言葉は,腸管を利用する泌尿器科医のものでもある。泌尿器科手術における腸管縫合不全の頻度は低いが,「腸管縫合不全のための死亡例を1例だけ経験した」というような先輩の話を聞いたことがある方は多いと思う。
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