増刊号特集 泌尿器科外来診療—私はこうしている
Ⅹ.メディカルエッセイ
膀胱鏡検査—あなたが患者なら進んで受けますか?
那須 保友
1
1岡山大学医学部泌尿器科
pp.110
発行日 2000年3月30日
Published Date 2000/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902900
- 有料閲覧
- 文献概要
私が入局した約20年前と比べて現在では,一般外来診療で施行する膀胱鏡検査の数は激減しています。Minimally invasivenessという概念は外来における検査システムにまで浸透し,invasiveな検査の代表である膀胱鏡の適応は変化したといっても過言ではありません。これは検査を受ける側からすると歓迎すべきことであるのは明白ですが,立場を変えて膀胱鏡検査をする側,特に手技を指導する側からしますと複雑な心境です。新米の泌尿器科医にとって,膀胱鏡検査は専門医として習得すべきテクニックの代表であるとともに他の内視鏡的処置の基本であり,先を争って先輩の教えを受けたものでした。外来での施行件数が減少した昨今,教育のチャンスが滅っているのが現実のようです。もちろん,私が「膀胱鏡検査」としてイメージしてお話ししているのは男性に対する硬性鏡のことです。
最近の内視鏡の進歩に伴い軟性膀胱鏡も普及しており,習得すれば確かに強力な検査手段となります。こんな経験があります。膀胱腫瘍外来において,数年来膀胱癌再発の定期検査のため3か月おきに硬性鏡による内視鏡検査を受けていた男性に,軟性鏡を使用することは明言せず使用したところ,検査終子後患者が「もう終わったんかな?今日の先生は名医じゃ,今までで一番痛くなかった!!」「このくらいなら何回でもしてつかあーさい」。もちろん,腕が上がったのでも名医になったわけでもなく,ただ器械が良くなっただけなのですが……。
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.