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特集 泌尿器科ベッドサイドマニュアル
Ⅳ ベッドサイド検査の実際
■5.生検
046 膀胱鏡検査・膀胱生検
Cystourethroscopy,bladder biopsy
神谷 浩行
1
Hiroyuki Kamiya
1
1豊田厚生病院泌尿器科
pp.260-264
発行日 2012年4月5日
Published Date 2012/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102763
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[1]はじめに
膀胱鏡検査とは,尿道,膀胱頸部および膀胱内を直接観察する検査である。したがって,主な適応は下部尿路疾患を有する症例である。また上部尿路疾患が疑われる場合であっても,例えば腎出血の場合には,患側を特定することはその後の検査計画を立てるうえで非常に有意義であるし,結石性腎盂腎炎のドレナージや腎後性腎不全の治療のため尿管ステントを留置する場合には適応となる。
膀胱鏡検査の一番の適応は肉眼的血尿であるが,顕微血尿の場合は,尿路上皮癌の高リスク群でなければ,推奨されていない1)。
軟性膀胱鏡の普及で低侵襲になってきたとはいえ,患者からすると最も受けたくない検査の1つであり,他の検査所見と併せ診断に必要かどうか吟味する必要がある。
急性前立腺炎,急性尿道炎,急性精巣上体炎など,急性炎症があるときには,膀胱鏡検査は禁忌とされている。しかし,急性膀胱炎の患者で尿中白血球数はそれほど多くなくても高度の血尿を呈する場合もあり,他の疾患を除外するために膀胱鏡検査を施行する場合もある。要は,利益が合併症を上回ると考えられれば,被検者によく説明し同意を得たうえで施行できると考えられる。また,前立腺肥大症でも禁忌といわれた時代があったが,それは盲目的に膀胱鏡を挿入しようとした時代のことであり,尿道内を観察しつつ挿入することが原則と考えられる現代では,前立腺肥大症の診断,特に手術適応の判定には膀胱鏡検査が有用である。
膀胱鏡が挿入できないような尿道狭窄は適応外とも考えられるが,狭窄部の状態を見きわめるためには内視鏡検査を実施すべきである。
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