増刊号特集 膀胱全摘除術と尿路変向術のすべて
Ⅴ 手術手技
1.基本手技
血管の処理
岡田 裕作
1
Yusaku Okada
1
1滋賀医科大学泌尿器科
pp.51-60
発行日 1998年3月30日
Published Date 1998/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902267
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はじめに
手術は,ヒトに傷をつけても許される唯一の合法的行為である。それは,「傷をつける」以上の恩恵が患者に与えられるためである。手術は泌尿器科医にとって,なくてはならない技(アート)の1つであるが,その多くの知識は各施設あるいは医局の伝統として先輩医師から後輩医師に直接伝授されることが一般的である。本稿で膀胱全摘除術ならびに尿路変向術を想定した手術手技の基本,主に血管の処理について述べるが,その多くは私自身が諸先輩医師から学んだことであることをお断りしておきたい。
手術における血管の処理には,術式によって特別な差はない。前半でその共通項となるような一般論を,後半で膀胱全摘除・尿路変向術に特有な血管処理について述べる,どうしても「べからず」調の表現が多くなるが,自分が納得できる部分を採用していただきたい。表1は,全国大学病院や腫瘍病院の外科教授,医長に行ったアンケート調査のまとめから抜粋したものであるが,多くの示唆に富んだ教えが含まれている1)。
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