増刊号特集 膀胱全摘除術と尿路変向術のすべて
Ⅳ 手術器具と手術材料
手術器具・手術材料
中村 宏
1
Hiroshi Nakamura
1
1防衛医科大学校泌尿器科
pp.41-50
発行日 1998年3月30日
Published Date 1998/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902266
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手術器具
「弘法筆を選ばず」という諺があるが,手術器具に関する限り,この諺は当てはまらない。むしろ「より使いやすい手術器具を選ぶ能力も腕のうち」といったほうが当たっているのかもしれない。昭和37年(1962年)に筆者がニューヨークのMount Sinai Hospital(MSH)に泌尿器科のレジデントとして初めて米国に行ったとき,手術器具の種類の豊富さと,日本とはかなり違っていることに驚いた。例えば,日本では止血鉗子といえばKocher鉗子が使われ有鉤だったが,MSHでは無鉤のHalsted止血鉗子が使用されていた。日本では,といっても私の経験は慶應義塾大学附属病院に限られていたが,当時はほとんどどこの病院でも同じ状況だったことは間違いない。
4年後にCornell大学附属病院のNew York Hospitalへ腎移植の勉強のために行ったが,手術器具はMSHとまったく同じだった。もちろん例外はあるものの,一般的にいって,アメリカ人は日本人よりも不器用である。
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