増刊号特集 膀胱全摘除術と尿路変向術のすべて
Ⅱ 適応と選択
術式の適応と選択
垣添 忠生
1
Tadao Kakizoe
1
1国立がんセンター中央病院
pp.25-31
発行日 1998年3月30日
Published Date 1998/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902263
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はじめに
膀胱全摘除術の適応は浸潤性膀胱がんが対象であることは疑いない。これにG3・T1やCIS,再発を繰り返す表在性がんをどこまで対象とするかが適応上のポイントとなる。自然排尿型の新膀胱を作製する尿路変向の選択肢が加わってからは,男女ともに尿道の取り扱いが2つ目のポイントとなる。骨盤内のリンパ節の郭清をどこまで実施するか,あるいは術中迅速診断でリンパ節転移が陽性であることが確認されたとき,膀胱全摘除術に進むか否か,これが3つ目のポイントとなろう。
尿路変向術は,ストーマを造設するか否か,腸管を利用した新膀胱の形成による自然排尿の保証か,S状結腸,直腸を利用した肛門排尿を実施するか,大別するとこの3つが議論の焦点となろう。
膀胱全摘除術にしても尿路変向術にしても,一度実施すれば後戻り,やり直しは困難であり,しかも患者さんの生命,術後の生活の質に直結する手術である。泌尿器科医が深く習熟すべき手術といえる。以下に,上述した筋道にしたがって,術式の適応と選択に関して議論を進めることとしたい。
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