特集 手術のタイミングとポイント
Ⅳ.角膜
培養粘膜上皮移植の適応と術式選択
稲富 勉
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科視覚機能再生外科学
pp.216-222
発行日 2006年10月30日
Published Date 2006/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100995
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はじめに
眼表面は角膜上皮および結膜上皮により構成され,光学的な視機能と眼球最表面としてのバリア機能を担っている。種々の角結膜上皮症の病態により角膜上皮幹細胞や結膜上皮細胞が疲弊すると,眼表面再建時に上皮幹細胞や代用上皮細胞の移植が必要となる。また広範囲の腫瘍切除での手術的な上皮欠損に対しても同様の再建が必要となる。角膜上皮移植術としては先に記述されているドナー角膜を用いた角膜上皮形成術や輪部移植が一般化した術式である。
近年では培養した上皮シートを移植する再生医療的な新しい再建法が考案され,臨床応用され効果が得られている。この新しい治療法により,いままでは難治性であったStevens-Johnson疾患群や眼類天疱瘡などに対しても治療の道が開けてきた。本稿では新しい培養粘膜上皮移植の適応と術式選択の実際と考え方について解説する。
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