小さな工夫
腹腔鏡下手術時の組織牽引の工夫
川端 岳
1
,
原口 貴裕
1
1三田市民病院泌尿器科
pp.712
発行日 1996年8月20日
Published Date 1996/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901884
- 有料閲覧
- 文献概要
近年,泌尿器科においても腹腔鏡下手術の適応疾患は拡がっている。また1996年4月より副腎摘除術・腎摘除術などが待望の保険適用となり,現在までは限られた施設で行われているに過ぎなかった腹腔鏡下手術は,今後さらに多くの施設で行われるようになると思われる。
腹腔鏡下手術を受ける側の最大のメリットは皮膚切開線が少ないことであるが,これは手術を行う側にとっては最大のデメリットであろう。特に腹腔鏡下腎摘除術の際の後腹膜腔の展開は,左側であれば脾臓からS状結腸まで,右側でも十二指腸から回盲部まで必要である。このように広い範囲を剥離し,結腸を授動させ,尿管や精系血管などを剥離同定し,さらに場合によってはそれらを牽引しつつ手術を進めて行かねばならない。筆者らは腹腔鏡下手術を開始した当初は既存の鉗子類を用いて尿管などの組織の牽引を行っていたが,最近では各社からさまざまな牽引用の道具が発売され(エンドリトラクト™,エンドバブコック™など)重宝している。しかしこれらを使用するには新たにトロッカーを追加刺入する必要があり,皮膚切開線が少ないという腹腔鏡下手術のメリットを減ずることになると思われる。
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.