Coffee break
時代小説の面白さ
富永 登志
pp.100
発行日 1995年3月30日
Published Date 1995/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901445
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私は,書くのは大変苦手なのですが,読書は大好きで,乱読です。昔から,時代小説は好きでしたが,この3〜4年は藤沢周平,白石一郎,津本 陽,隆慶一郎の作品を主に読んでおります。藤沢周平の作品はNHKで三屋清左衛門残日録が,放送されていますので,御存知の方も多いと思います。武士や町人の生き方がいきいき描かれていて,人生の機微に触れる作品が多く,考えさせられる場面が結構あります。柔術の強い獄医の捕物帖などの,ほのぼのとした雰囲気の作品もあります。白石一郎は九州を題材とした作品と,海の時代小説を主に,今まで題材としてとり上げられなかった領域の一連の作品があり,目につく限り読んでおります。最近は古地図を買い込んで主人公の動きを地図上で追って,悦に入ったりしております。津本 陽,隆慶一郎の作品もほとんど読んだつもりです。他の時代小説は上記4氏に比して,おもしろ味に欠ける様に感じ,新しい時代小説の書き手が現われないかなあと思っております。司馬遼太郎を読み直す方がいいのかな?。
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