交見室
癌遺伝子に関する3つの綜説/小児の包茎についての雑感
橋本 博
1
1旭川医大泌尿器科
pp.534-535
発行日 1994年6月20日
Published Date 1994/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901248
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最近泌尿器科の学会に出席すると,癌遺伝子関連の話題がたいへん多くなっていることに気がつきます。先頃行われた福岡の総会でも,香川先生のランチョンセミナーが大入りであったことは記憶に新しいところであります。またこの1,2か月間に手元に届いた雑誌を見ますと,その巻頭に申し合わせたように癌遺伝子,癌抑制遺伝子に関する綜説が顔をそろえています。すなわち本誌48巻3号の窪田先生の,ついに創刊成った泌尿器科学会英文誌(IntJUrol)1巻1号の吉田先生の,そしてJUrol l51巻3号のDr.Sandbergのものです。学会での印象や,次々と目の前に現れたこれらの綜説から,泌尿器科の癌研究において遺伝子に関する話題が益々一般的なものになったことや,この方面の勉強の必要性を今更ながら感じています。かのDr.Vogelsteinが示した大腸癌の発生メカニズム(窪田論文にも,図2として引用されています)に近い形の(見方によってはかなり違う?)膀胱癌発生過程に関わる遺伝子(染色体)変化のシナリオが図として示されていることには感銘を受けました(吉田論文のFig.4, Sandberg論文のFig.4)。これまで個々の論文を読んでも何となく遠い存在だった癌遺伝子でしたが.これらの綜説により少しはわかったような気になり,癌遺伝子がやや身近に感じられるようになったように思っています。
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