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手術手技 泌尿器科医に役立つ他科領域の手術・5
術中損傷対策(膵・脾)と血管処理の基本
Intraoperative Injury;Pancreas and Spleen
加藤 紘之
1
,
田辺 達三
1
Hiroyuki Katoh
1
,
Tatsuzo Tanabe
1
1北海道大学第二外科学教室
1Department of Surgery II, Hokkaido University School of Medicine
キーワード:
術中損傷
,
膵臓損傷
,
血管手術の損傷
Keyword:
術中損傷
,
膵臓損傷
,
血管手術の損傷
pp.375-380
発行日 1993年5月20日
Published Date 1993/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900948
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膵臓付近まで操作をすすめることは少ないと思われるが,膵実質損傷は術後合併症として重篤化する可能性が高いので,その処置を適切に行う必要がある。膵実質損傷部を非吸収糸で縫合することはもちろんであるが,膵液漏出を予想してドレーンを確実に設置することが大事である。ソマトスタチンアナローグによる膵液分泌抑制,膵酵素剤の使用も必要である。また膵周囲は,密な血管網に囲まれているので,血管処理を適切に行う必要がある。
脾臓の損傷は左腎腫瘍あるいは副腎腫瘍切除の際に起こり得る。被膜が剥離した程度であれば,オキシセル綿をあて,指でやや強く圧迫すると止血する。広範囲であれば噴霧式のフィブリングルーが非常に有効で,やや深い損傷でもよく止血される。深い損傷であっても肝臓のように胆汁漏などの心配がないので,一定時間の圧迫とフィブリングルーの塗布を試みるべきである。やむをえないと判断されれば脾摘を行うが大人では術後に障害を起こすことはない。
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