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特集 緊急手術の手技・Ⅰ
脾損傷
Injuries of the spleen
鍋谷 欣市
1
Kinichi NABEYA
1
1千葉大学医学部第二外科
pp.1251-1254
発行日 1969年9月20日
Published Date 1969/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204937
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はじめに
脾損傷は,開放性損傷と非開放性損傷に大別される.開放性損傷は刺創,切創,銃創等であり,非開放性損傷は皮下損傷で,打撲,衝突等の強い外力による外傷性皮下破裂traumatische Subku-taner-milzrupturがその代表的なものである.一般にこの皮下破裂は,マラリア,バンチ氏病のような病的脾腫がある場合に発生し易いといわれている.また,特殊な損傷としては,手術中に脾を損傷して止血の困難な場合がある.
脾損傷をその損傷部位,損傷程度からみると,単に脾被膜の一部剥離や,断裂によるものから,脾実質の断裂損傷におよぶもの,あるいは脾門部血管の損傷によるものなどがある.しかし,かかる脾損傷の中で緊急手術を要するものは,いわゆる脾破裂Milzrupturであつて,出血を伴なう血圧下降がみられ,ショック状態に陥る場合がある.
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