Coffee Break
波乗り
竹内 秀雄
pp.215
発行日 1993年3月30日
Published Date 1993/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900916
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京都北部の由良海岸にときどきサーフィンに興ずる若者を見る。うまく波に乗ることができればよいが乗れなければ溺れそうになる。泌尿器科の診療にも小さな波や大きな波が次々に押し寄せてきている。波を感じたのは年のせいだろうか,10年程度前である。QOLとMISが叫び始められた頃である。回腸導管が当り前に思われていたところ蓄尿型のKOCKが出現,さっそくこれを取り入れ,手術時間が長く膀胱全摘と合わせ10時間ほどかかった。元々泌尿器科も外科手術をやりたくて選んだもので,比較的楽にクリアできた。時間の長い手術は多数のメンバーが参加でき,歓迎された。波は大きくとも乗りやすい波であった。同じ頃,結石治療の大きな変化が出てきた。PNL,TUL,ESWLである。ESWLは機械が高価で手に入れることができなければこれをパスした。機械だけで,医者の技術を生かすものでないとおもしろくもなんともない。患者にとっては腰部の大きな切開手術の恐怖より開放され大歓迎であった。TUL,PNLはまだ比較的安価で,これを購入せざるをえず,手技を磨きなんとかこれをクリアした。好むと好まざるにかかわらずせざるを得ないという大きな波であった。ところが次にまたまた波がきた。腹腔鏡下手術である。もう溺れそうである。若い人はテレビゲームの経験があるのかモニターを見ながら手もとの操作を簡単に行う。
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