Coffee Break
ウロとパンツとPTA
黒田 俊
pp.225
発行日 1993年3月30日
Published Date 1993/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900921
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私は平成3年度より小学校のPTA会長を引き受けています。PTAへのアレルギー反応のために,最初はひどく戸惑いました。子持ちの看護婦には「先生,PTAにゆく時は,パンツ変えていった方が良いわょ。良いことあるかも。」などと,冷やかされ,情けないことに少し期待したりして…。
しかし,しばらくたつと,そういう戸惑いは薄れ,むしろ学ぶことが多いように思えてきました。様々な職業をもつPTA会長の集まりでは14人中医師は私だけでした。そのために,医療関係以外の人々と理解し合う必要が生じて,その経験が日常診療に幅を与えているような気がします。また,人前で挨拶する機会が多いので,話術のようなものが身に付きました。つまり,挨拶は自分の得意な分野,私なら泌尿器科診療の話を中心として構成した方が,周囲へのうけも良く落ちついて話が出来るのです。しかし,初等教育の方向性,PTAそのものの存在意義など,解決出来ない問題が山積しているのも事実です。パンツには縁のある泌尿器ですが,残念ながら,パンツを変える甘美な出来事もなく,まもなく任期が終わろうとしています。私のような閉鎖社会に生きる人間には,目からうろこが落ちるような未知なる体験でありました。
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