増刊号特集 泌尿器科治療薬マニュアル—私の処方箋
疾患別薬剤投与プロトコール
排尿障害
切迫性尿失禁
曽根 淳史
1
1川崎医大泌尿器科
pp.153-155
発行日 1993年3月30日
Published Date 1993/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900885
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切迫性尿失禁とは
切迫性尿失禁とは尿意が生じると我慢ができなくなり失禁してしまうものである。高齢者や痴呆性老人に認められる尿失禁の多くは切迫性であり,尿失禁のなかでは比較的管理が難しい。切迫性尿失禁は大きく2種類に分けることができる。ひとつは知覚性切迫性尿失禁(Sensory urge incontinence)であり,激しい膀胱炎や前立腺肥大症,膀胱結石などで強い尿意が生じたときにおこる。この強い尿意に対して中枢での排尿の抑制が十分に効かず尿失禁をおこすものである。もうひとつは運動性切迫性尿失禁(Motor urge inconti-nence)で上位の排尿反射中枢から橋や脊髄の排尿反射中枢に対してかかる排尿の抑制が十分でないため,弱い尿意でもそのまま排尿反射が生じてしまうもので,乳幼児の排尿状態に比較的近い状態である。この場合,多くは中枢神経系の基礎疾患を持っており,脳血管障害後遺症やパーキンソン症候群,脳変性疾患などが代表的疾患である(図1)。
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