Coffee break
"たかが尿失禁,されど尿失禁"
横山 英二
pp.173
発行日 1995年3月30日
Published Date 1995/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901476
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私は昭和60年頃までは,女性の腹圧性尿失禁に興味はなかった。時にはMMK法も行ったが,多くは"いんちきKegel法"を簡単に説明しただけでお茶を濁していた。その後,高名なN大学のK先生,別のK先生,C協会のN女史たちに触発されて,尿失禁全般,特に腹圧性尿失禁に取り組むようになった。K-K先生にはStamey法も教えて戴いた。また多くの患者さんからもたくさんのことを学んだ。
"尿失禁は結局,心(精神)の問題に帰結する"ということもそのうちの1つであった。相手は神経障害でも,結石でも,癌でもない。ただ膀胱頸部が数cm下がっただけのたかが尿失禁である。しかし,彼女たちの悩みは大きい。たとえ,3人に1人は自分も同じと知らされても,「あーよかった」とはならない。困るから,不便だから,不愉快だから,そして恥ずかしいからである。尿失禁のために自殺を企てた数人にも出会った。幸い死ねずに(?)来院したが,人によってはQOLなどという言葉では計り知れない深刻な問題なのである。
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