増刊号特集 泌尿器科治療薬マニュアル—私の処方箋
疾患別薬剤投与プロトコール
腫瘍
進行腎癌
里見 佳昭
1
1横須賀共済病院泌尿器科
pp.77-78
発行日 1993年3月30日
Published Date 1993/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900846
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進行腎癌の薬物療法の現況
腎癌は従来より有効な薬剤のない癌といわれており現在もなおその状況に近いが,interfer-on(IFN)の開発により,以前よりやや期待のもてる時代に入ったといえる。現在最も信頼できるIFNの有効率は17%程度であり,抗癌剤の平均は約10%,ホルモン剤(progesterone)は5%程度に留まっている。しかもその有効率の大部分はpartial responseで,completeresponseはわずか数%と悲観的状況にある。IFN-α+IFN-γの併用療法,インターロイキン-2(IL-2)療法,LAK療法(lymphokaineactivated killer cell)なども一時希望を持たれたが,IFN単独療法を凌駕する成績ではなく,特にLAK療法では治療によるblood brainbarrierの破壊のためか,脳転移の出現頻度が高くなっているといわれており,今後の発展は疑問である。
抗癌剤は単独では5—FUおよびその誘導体以外は有効なものは少ないが,methotrexate(MTX),vinblastine(VBL)を中心として有効率20〜30%の多剤併用療法が報告されている。progesteronは副作用が少なく本邦では従来多く使用されていたが多数例の報告で有効率が低いことが判明し,使用されなくなりつつある。しかし時に有効な例もあり,第3,第4選択薬として使用するのもよい。
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