増刊号特集 泌尿器科治療薬マニュアル—私の処方箋
疾患別薬剤投与プロトコール
腫瘍
表在性膀胱癌
赤座 英之
1
1筑波大学臨床医学系泌尿器科
pp.79-81
発行日 1993年3月30日
Published Date 1993/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900847
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表在性膀胱癌の治療と現況
膀胱移行上皮癌の約70%は,膀胱筋層にまでは浸潤を示さない表在性膀胱癌である。このタイプのものは,経尿道的腫瘍切除術(TUR-Bt)が治療の第一選択であり,予後も不良とは言えない.しかしながら,切除術後の膀胱腔内再発の頻度が高いこと,そして,再発のたびに,腫瘍の浸潤度または悪性度において進行する頻度が10%内外に認められることが,大きな問題とされている。
そのために,従来,表在性膀胱癌に対する薬物療法は,主に,腫瘍切除後の再発予防にむけられてきた。また,腫瘍がTUR-Btでは除去できないほど多発していたり,上皮内癌(CIS)が随伴した場合には,薬剤による治療も試みられてきた。
これらのほとんどは,薬剤を経尿道的に膀胱腔内に注入する膀胱内注入法である.
本療法の特色としては,この多くが経験的に,それぞれの施設あるいは研究グループで行われており,確立した方法が存在しないことである。また,BCG膀胱内注入療法のように現時点では(少なくとも日本では),保険適用外の治療法も行われることがあり,その実施にあたっては注意を要する。
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