今月の主題 腹部エコー法の現況—癌診断を中心に
臨床診断
腎癌
棚橋 善克
1
Yoshikatsu TANAHASHI
1
1東北大学医学部・泌尿器科
pp.1162-1165
発行日 1981年7月10日
Published Date 1981/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217243
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検査の手順およびポイント
①術前処置 とくに必要としない.小児や疼痛のある患者では,体動を少なくするために,鎮痛剤の使用や軽い麻酔下に行うことも考えられるが,このような場合はむしろ高速走査(メカニカル・セクタ走査や電子走査)で,実時間表示を行ったほうが簡便である.
②体 位
1)原則として,腹臥位で背面からの走査を行う.なぜなら,このルートが一番腎に近く,なおかつ音の伝播をさまたげる腸管が存在しないからである.
2)上記の体位では,腎上極が肋骨に遮ぎられてうまく描出できない場合,また腫瘤が大きく,腹部より触知できる例などでは,仰臥位や側臥位での走査も有効である.
3)右腎の場合は,腹壁より肝右葉を通した走査により,良好な画像を得ることも可能である.
4)複合走査で検査する場合は,呼吸を止めさせて,(通常吸気位で)走査するが,実時間表示の可能な装置ではその必要はない.
5)メカニカル・セクタ走査により,超音波ガイド下の穿刺を行う場合は,検査前にガイド金具の微調整を行い,刺入する針がよく描出されるようセットしておくことが重要である(図1).
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