小さな工夫
前立腺出血に対する簡便なトロンビンの有用性評価法
高岩 正至
1
,
加宅田 和彦
1
1米沢市立病院泌尿器科
pp.621
発行日 1991年7月20日
Published Date 1991/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900402
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経尿道的前立腺切除術後出血に対して,生理食塩水を用いた膀胱灌流(生食灌流)よりもトロンビン添加生理食塩水を用いた膀胱灌流(トロンビン灌流)の方がより止血効果が高いようであるという報告がなされている.しかし個々の患者の凝固因子にばらつきがあり,また術者の習熟度や前立腺の切除量もまちまちであり,出血の背景や程度に差が生じるため数多くの症例を用いた生食灌流とトロンビン灌流の2群間検定にても有意差を得るには至っていない.
筆者らは前立腺肥大症による尿閉のため,あらかじめ3way Foley catheterを留置した84歳の患者に,5%以上の肉眼的血尿が数日間続いたため,A生食灌流とBトロンビン灌流(ワーナー・ランバート社製トロンビン局所用5000単位×5本/生理食塩水500ml)とを125ml/hの注入速度にてABABの順にて交互に2回ずつ行い,各灌流の終了直前に灌流排液を約5mlずつ試験管に採取し,冷所保存し翌日試験管内容の肉眼的観察(図)と攪拌後のHct値を測定しトロンビンの有用性を評価した.
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